マーケットの恐怖(思い出)|タイランド編19

VIPラウンジで己を知った僕達は、買い物目当てに街へ出る事にした。ホテルのあるサイアム周辺は、情緒漂うチェンマイの街並みとはうって変わってかなり都会的だった。

まるで東京みたいだ!

大都会バンコクの大渋滞
(写真は夜に撮影)

ああ…色鮮やかな南国植物は…歴史を感じる建物はどこに行ってしまったのだろう…

衝撃と同時にちょっとした残念さが込み上げてきた。

実はタイという国はどこに行っても、エキゾチックでローカルな雰囲気があるものだと勝手に思い込んでいたのだ。

いったいマーケットまでどの位あるのだろう…

予想とは違い、ただただ暑いコンクリートジャングルを歩く僕は、ここ数日の旅行疲れも相まって、大した距離を歩いたわけでもないのに足取りが重くなっていた。

ダルイ…腰から下がズ~ンと…
(八木の心境を代弁するリスザル①)

するとそれに気が付いたのか、嫁さんが一台のトゥクトゥクをとめ、本を見せながら交渉を始めた。

ああ~、多分あそこの事ね~

そんな感じの微妙な反応であったが見当がついたのだろう、乗せてもらえることになった。

タイのトゥクトゥク
(タイのトゥクトゥク )
オリジナリティーのあるカスタムがカッコイイ

バンコクの街を走り抜け、やたら歩行者が多い地域にさしかかるとトゥクトゥクが停まった。

どうやらここが、探していたしていた場所らしい…

両脇には不規則に並んだ屋台やバイクが停められ、人でごった返している。

えっ、この中に入るの!

なんかゴチャゴチャしてるし…

物騒な感じがするけど…

大丈夫なん⁉

何かの間違いだろ…
(八木の心境を代弁するリスザル②)

僕は思わず、身体の前に掛けたボディーバックを両腕で守るかのように抱いた。

ああ~なんか

ここのような気がする…

そう言いながら嫁さんは、トゥクトゥクを降り人混みに向かって歩き出した。

おいおい、本当にここなのか⁉

8年前の記憶だろっ

仮にあっていたとしても…

なんか危険な匂いがするぞ!

僕は初めての海外でかなり警戒していた。

そうそう…この感じ…

きっとそう…

何かに導かれるように歩みを止めない嫁さん

その後ろをビクビクしながらついて行くうちに恐怖心がマックスに達した。

ちょっと待て!

絶対だまされるぞ‼

僕はそう言いながら嫁さんの腕を引っ張った。

しかし、その手を振り払いどんどん前に進もうとする…

いい加減にしろ!

思わず口をついて出た。

すると、嫁さんは

何がそんなに心配なの⁉

ここだって言ってるじゃん‼

まるで、臆病者でも見るような目だ。

ひどい…ひどすぎる…
(八木の心境を代弁するリスザル③)

仕方がない…

今はコイツのいう事を聞くしかない…

僕は、身の回りの小さな異変おも見逃さない勢いで周辺に気を配りながら歩いた。

ボディーバックを抱きしめる腕にも自然と力が入る。

少し歩くと、嫁さんがスイカジュースを飲みたいと言い出した。

何か飲めば気持ちも落ち着くから…

と同意を求めてきた。

ここにある全てものに警戒している僕に、いちおう気を使っただろう。

まあ…、飲んでもいいけど…

ただよりによって

またスイカか

いったい何なんだ、このスイカへの執着は…

いやっ、待てよ!

スイカジュース自体は大丈夫だと思うが…

まさか…

氷は入ってないよな…

以前インターネットで見た、タイの水道水は飲めないような事を書いた記事を思い出した。

もし…

その氷が水道水でつくられているとしたら…

キナ臭いな…

お腹をこわす可能性が大だ!

こんな出先の良く分からない場所では、トイレに駆け込む事も出来ない

やめておこう…

あえて危険を冒すべきではない!

冷静に考えた結果…

嫁さんにスイカジュースを買うことをやめるよう伝えると

は? 何いってるの?

喉が渇いて死にそうなの‼

ものすごい勢いで逆切れをしてきた。

ダメだ…

とにかく今はコイツに逆らってはいけない!

僕はスイカジュースを買う事を渋々承諾し、全てを嫁さんにゆだねる事にした。

少し離れて後ろで待っていると、買ったばかりのスイカジュースを振り向きざまに見せてきた。

なんだ⁈

なんだそれは‼

なんと、スイカジュースが直接ビニール袋に入れられているではないか!

液体もか⁉

衝撃が走った。

まさか固形物だけでなく水分までも…

直接ビニール…

僕はチェンマイで直接ビニール袋に入れられたカットスイカに、やっとの思いで慣れたばかりだったため動揺を隠しきれなかった。

し…信じられない…
(八木の心境を代弁するリスザル④)

いろんな意味で本当にこれを飲んでいいのか?

さすがにちゃんとストローも付いているけども…

この不安さたるや…

この時点で僕にとっての問題は、今いる場所全体への安全性からスイカジュースの安全性のみへとシフトされた。

それでも買ってきた嫁さんの手前、どうなろうが飲むという道しかのこされていない。

前に進めば腹痛…後ろに下がれば嫁さんの逆鱗に触れてしまう…
(退路を断たれた八木を再現するリスザル⑤)

僕は恐る恐るそれを口にした。

・・・・・・

そして思った…

ああぁ…

美味い‼

冷たくてスッキリと甘い味が口の中に広がりのどを潤した。

こうして僕は、タイでの直接ビニール袋レベルを上げたうえに、ほんの少しだけ平常心も取り戻したのだった。

もちろんお腹をこわさなかったのは言うまでもない…

(因みに現在ジュース類は、カップで提供される店が主になっています)

あいつ…ジュース片手に色んな顔する奴だな…
(近くで八木を見ていた人々を表すリスザル⑥)

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